連載第1回 |
様々な人たちが想像や創造する現場を訪れ紹介していきます。 back number 第1回 Chim↑Pom展『REAL TIME』 第2回 名和晃平―シンセシス 第3回 舞台芸術の現場(1) やなぎみわ演劇プロジェクト 第1部『1924 Tokyo-Berlin』 |
2011.06.16 Chim↑Pom展『REAL TIME』 『LEVEL 7 feat. 『明日の神話』』Chim↑Pom(2011年) 渋谷駅に展示されている岡本太郎の『明日の神話』は広島•長崎•第五福竜丸をモチーフにした壁画である。 そのすぐ傍に、同作から繋がるよう福島第一原発の絵を並べたのはChim↑Pomであった。メディアでも話題になり、 賛否両論ありながらも展覧会当時を迎え、会場ではそのときの様子が流れていた。 右:『LEVEL 7 feat. 『明日の神話』』Chim↑Pom(2011年)/奥:『REAL TIMES』Chim↑Pom(2011年) 「WARNING!!」と書かれたカーテンの向こうに見えるのは、Chim↑Pomが福島第一原発を訪れたときの映像作品。 彼らは放射能から身を守るために完全防備し、福島第一原発内展望台の登頂を目指す。そして展望台に到着し、 見下ろした光景には、黒い雲を上げる第4号機、汚染水が流れ出た太平洋… 観客は作品を通じ、その先にある何かを見ようとしているようだった。 左奥:『気合い100連発』Chim↑Pom(2011年)/右手前:『被曝花ハーモニー』柿崎順一とChim↑Pomとのコラボレーション(2011年) Chim↑Pomは福島県相馬市にも向かった。被災地には多数の支援が入っているが、ここは放射能の影響のため ボランティア不足が続いている。まだたくさん瓦礫が残る中、地元の若者たちと円陣を組んで「気合い100連発」を 入れた。素朴で明るい若者たちと一緒に叫ぶかけ声には、突然降りかかった震災や人災への悲しみと怒りも入り 交じり、がらんとした街に響き渡っていた。 3.11の出来事は多くの人に衝撃を与え、日常を壊した。 今なお惨事が続く中、どうしたもんかと狼狽える人、どうにかするぞと勇む人、疲れ果てて項垂れる人、平穏な 生活を静かに祈る人、皆さまざまな在り方で毎日過ごしている。Chim↑Pomの作品はそんな私たちに新たな問いを 投げかけ、また違った側面から今を見るよう導いた。そして、次に進むために、強く背中を押してくれた気もする。 2011年5月25日 Chim↑Pom展『REAL TIME』無人島プロダクションにて Chim↑Pom 2005年、エリイ、卯城竜太、林靖高、水野俊紀、岡田将孝、稲岡求で結成したアート集団。「生と死」をテーマにし
た作品や、現代社会に全力で介入した社会的メッセージの強い作品で評価を得て国際展に出展するなど、海外から
の注目も高い。 |